【2026年最新】センサリープレイの将来性は?日本・海外の幼児教育の動きから専門家が解説
こんにちは。一般社団法人センサリープレイ協会理事のさぴぴです。
「センサリープレイは、これから日本で広がっていくのだろうか?」
最近、そんなことを聞かれる機会が増えてきました。私は約10年前からセンサリープレイを実践してきました。始めた頃の日本では、「センサリープレイ」という言葉そのものがほとんど知られておらず、調べても日本語の情報を見つけることが難しい状況でした(当時は、海外ブロガーの方のセンサリープレイを見漁っていたのが懐かしいです)そこから、家庭での実践、センサリープレイの商品開発、会員制教室、保育園等での実践、講師養成、2024年の一般社団法人センサリープレイ協会設立へと活動を広げ、2026年には中央法規出版からセンサリープレイの専門書を出版しました。約10年間この分野を見続けてきたからこそ、今、感じていることがあります。
それは、日本のセンサリープレイは、まだ完成された分野ではなく、むしろこれから大きく発展していく可能性があるということです。これは単に、私自身がセンサリープレイに携わっているからそう思う、という話ではありません。日本の保育政策の変化、乳幼児期の「遊びと体験」への注目、世界の幼児教育の方向性、そして実際に海外の講座を受講して感じている変化。さまざまな動きを見ていくと、センサリープレイが大切にしている「感覚」「探索」「主体性」といった要素へのニーズは、これからさらに高まっていくのではないかと考えています。
今回は、私自身の約10年間の経験だけではなく、国内外の動きや公的な資料も交えながら、センサリープレイの将来性について考えてみたいと思います。
▪️そもそもセンサリープレイとは?
↑まだ読まれていない方はぜひご覧ください!

▪️日本の保育は「量」から「質」を重視する時代へ
センサリープレイの将来性を考えるうえで、まず注目したいのが日本の保育政策の変化です。これまで日本では、待機児童問題への対応として、保育の受け皿を増やす「量の拡大」が大きな課題となってきました。しかし、現在はその状況が変わりつつあります。こども家庭庁が示している今後の保育政策では、人口減少社会を見据えながら、地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実を進める方向性が示されています。つまりこれからは、「子どもを預かる場所があるか」だけではなく、「そこで子どもがどのような経験をするのか」という保育の中身が、これまで以上に重要になると考えられます。
私は、この「量から質へ」という変化は、センサリープレイの将来を考えるうえで非常に重要だと感じています。
▪️保育指針にも「感覚」「探索」につながる考え方がある
実は、センサリープレイが大切にしていることは、日本の保育とまったく別のものではありません。保育所保育指針やその解説では、乳幼児期に、見る・触れる・探索するといった形で身近な環境へ自ら関わることや、音・形・色・手触りなどに気づき、さまざまな感覚を経験することが大切にされています。これは、センサリープレイで私たちが大切にしていることとも重なります。
子どもの遊びの中には、私たち大人が想像している以上にたくさんの「感じる」「考える」「試す」があります。だから私は、センサリープレイは海外からやってきた新しい遊びというより、日本の乳幼児教育が大切にしていることを、豊かな環境の中で実践する方法の一つとして発展していく可能性があると考えています。

▪️国も「乳幼児期の遊びと体験」を重要なテーマとしている
もう一つ注目したいのが、こども家庭庁が推進している「はじめの100か月の育ちビジョン」です。乳幼児期は、その後の人生の土台をつくる大切な時期です。そして現在、国も乳幼児期の「遊びと体験」に関する科学的知見について調査研究を行っています。子どもにとって遊びは、単なる暇つぶしではありません。
「これ何だろう?」
「触ってみたい」
「さっきと違う!」
「こうしたらどうなる?」
「もう一回やってみよう」
こうした小さな好奇心の連続が、子どもの学びにつながっていきます。だからこれからの乳幼児教育では、「大人が何を教えるか」だけではなく、子どもが自分から触り、試し、考えたくなる環境をどうつくるかという視点が、さらに重要になっていくのではないでしょうか。
▪️海外でも「遊び・探索・主体性」が重視されている
そして、実はこの流れは、日本だけのものではありません。世界の幼児教育でも、遊びや探索を通した学び、子どもの主体性や好奇心などが重要視されています。大人が答えを教え、それを子どもが覚える。それだけではなく、自分で触る、自分で選ぶ、試してみる、失敗する、やり方を変える、そして、自分なりの答えを発見する。こうした経験を大切にする考え方は、センサリープレイとも非常に親和性があります。

▪️海外ではさらに学びが広がっている
ここは、私自身が最近とても興味深く感じているところです。私は現在、日本国内の情報だけではなく、海外の幼児教育者による講座やセミナーにも継続的に参加しています(例:イギリス、アメリカ、スペイン、アルゼンチン、オーストラリアなど)
センサリープレイはもちろん、光、影、色、素材、空間、環境構成、子どもの探索など、センサリープレイにつながるさまざまな分野について海外から学んでいます。私は正直「海外ではセンサリープレイはすでに広く知られているから、ある程度完成された分野なのでは?」と思っていました。ところが、実際に海外の講座やオンラインワークショップに参加してみると、まったく逆でした。今も新しい実践が生まれ、新しい講座が開催され、子どもの感覚や環境について学び続けている人たちがたくさんいる。センサリープレイは「一度流行して終わった遊び」ではなく、今も発展し続けている分野なのだと感じました。
さらに、私が実際に受講した海外講座の講師から、「これからセンサリープレイはますます求められるようになり、必要不可欠なものになっていく」という趣旨のお話を聞いたことがあります。もちろん、これは一人の海外講師の見解です。この言葉だけを根拠に「必ず世界でセンサリープレイが広がる」と言うことはできません。それでも、すでに日本より先にセンサリープレイが知られている海外で、現在も実践と学びが続き、その現場にいる方がさらに将来性を感じていることは、私にとってとても印象的でした!

▪️約10年前の日本と今では、明らかに違う
そして、私がセンサリープレイの将来性を感じるもう一つの理由は、日本で約10年間この分野を見続けてきたからこそ感じるとてつもない変化です。以前は、「センサリープレイって何ですか?」というところから説明することがほとんどでした。しかし今では、「園でセンサリープレイを取り入れたい」「保育士研修をお願いしたい」「もっと専門的に学びたい」「自分もセンサリープレイを実践できるようになりたい」といったご相談をいただくようになっています。これは市場調査の統計ではありません。
でも、日本でまだセンサリープレイという言葉がほとんど知られていなかった時期から、約10年間同じ場所に立ち続けてきたからこそ見える変化だと思っています。
▪️2026年度から「こども誰でも通園制度」も全国でスタート
日本の子育てを取り巻く環境そのものも変化しています。2026年度からは「こども誰でも通園制度」が全国で新たな給付として実施されています。これから保育や子育て支援の現場では、これまで以上に、さまざまな経験や発達段階を持つ子どもたちと出会う機会が増えていくでしょう。そこで大切になると考えているのが、「一人ひとりが自分なりの方法で楽しめる遊び」です。
センサリープレイでは、全員が同じことをする必要はありません。触ってもいい、眺めてもいい、すくってもいい、並べてもいい、混ぜてもいい。もちろん一つの素材だけに夢中になってもいい。同じ環境の中にいても、一人ひとり違う遊びが生まれます。多様な子どもたちが同じ場所で過ごすこれからの保育・子育て環境において、この「遊びの余白」は一つの大きな価値になるのではないかと考えています。

▪️日本の少子化の影響は?
日本では少子化が進んでいます。だから私は、単純に「子ども向けの分野だから、これからも市場が伸びる」とは考えていません。子どもの人数が減っていくからこそ、一人ひとりの子どもにどんな体験を届けるのかは、これまで以上に大切になっていくと考えています。ただ遊ぶ機会をつくるだけではなく、子どもが自分から触れて、試して、夢中になり、発見できる環境をどうつくるのか。これから求められるのは、遊びの「量」だけではなく、こうした体験の質です。
日本の保育政策が「量」だけでなく「質」を重視する方向へ変化していることも、その一つの表れなはずです。
私は、家庭、保育園、幼稚園、認定こども園、子育て支援センター、地域の親子イベント、児童発達支援などの福祉の場、そして保育者・教育者を対象とした研修など。これからセンサリープレイが活用される場所は、もっと広がっていく可能性があります。さらにその先には、「センサリープレイをする」ということだけではなく、子どもが主体的に探索できる環境をどうつくるのか。目の前の子どもの興味をどう読み取るのか。そこから次の遊びをどう広げていくのか。という考え方そのものが、保育や幼児教育の中に広がっていく可能性があると思っています。

▪️「センサリープレイには将来性がある」と考える理由
ここまで見てきたことを整理すると、私は、センサリープレイは一時的な流行ではなく、これからの日本の保育・幼児教育の中で、さらに価値が高まっていく可能性のある分野だと考えています。5年後、10年後、20年後「センサリープレイ」という言葉が日本でどれほど一般的になっているのか。それは、まだ誰にも分かりません。
でもこのAI時代の今、子どもが自分の感覚を使うこと、自分で「やってみたい」と思うこと、何度も試すこと、夢中になって探索すること、自分なりの発見をすること、その価値がなくなることはないと私は思っています。
センサリープレイ協会が目指しているのは、単に「センサリープレイ」という言葉を流行らせることではありません。私が本当に増やしたいのは、子どもが自分の感覚を使って世界と出会い、「やってみたい」と思える環境です。そして私自身も、学びを止めるつもりはありません。日本で約10年間実践してきた今だからこそ、さらに海外へ目を向け、世界で今どんな実践が生まれているのかを学ぶ。海外で学んだことを、そのまま日本へ持ってくるのではなく、日本の子どもたち、日本の保育・家庭環境に合う形へ落とし込んで実践して、子どもの姿を見て、また学ぶ。海外でも学び、日本の子どもたちに合う形へしていく。日本のセンサリープレイは、まだ発展の途中です。だからこそ、10年後にどんな景色になっているのか、私はとても楽しみにしています。そして、その未来をただ待つのではなく、子どもたちと一緒に、その未来をつくっていきたいと思います!

<参考資料>
こども家庭庁「保育政策の新たな方向性」
こども家庭庁「はじめの100か月の育ちビジョン」
こども家庭庁「乳幼児の遊びと体験に関する科学的知見の調査研究」
こども家庭庁「こども誰でも通園制度」
こども家庭庁「保育所保育指針解説」
OECD「Education Policy Outlook 2025」
厚生労働省「人口動態統計」
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