【解説】子どもは「触る」ことで何を学んでいる?触覚とセンサリープレイの関係
こんにちは。一般社団法人センサリープレイ協会理事のさぴぴです。
子どもと関わる大人なら、一度はこんなこと思ったことはありませんか?
「子どもは、なぜ何でも触りたがるの?」
水を触る
砂を握る
粘土をつぶす
気になるものを指先でつまんでみる
子どもたちは、身の回りにあるものに何度も触れながら遊びます。大人から見ると、ただ触っているだけに見えることもあります。でも子どもにとって「触る」という行為は、身の回りの世界を知るための大切な探索のひとつです。「これは柔らかい」「これは冷たい」「押したら形が変わった」「強く握るとつぶれた」こうした発見を、子どもは説明を聞くだけではなく、自分の身体を使って確かめています。
幼児期の感覚遊びでは、触ったり、動かしたり、変化させたりする経験を通して、素材の性質や因果関係などを具体的に探索できます。
▪️「触覚」ってどんな感覚?
触覚とは、皮膚を通して受け取る感覚です。
たとえば、
・ザラザラ・ツルツル・ふわふわなどの質感
・硬い・柔らかい
・温かい・冷たい
・形や大きさ
・押された、触れられたなど、私たちは皮膚からさまざまな情報を受け取っています。触覚は単に「触り心地を楽しむための感覚」ではありません。触れたものの特徴を知ったり、自分の身体と周囲との境界を感じたり、危険につながる刺激に気づいたりするためにも使われています。

▪️触覚から得られる大切な情報
①触れたものの特徴を知る
「硬い・柔らかい」「ザラザラ・ツルツル」など、触れることで物の質感や形、特徴を感じ取ります。
②自分の身体に気づく
「手に触れている」「足に何かが当たっている」など、皮膚への刺激を通して、自分の身体のどこに触れているのかを感じ取ります。
③身の回りの世界を探索する
見るだけでは分からない情報を、実際に触って確かめます。「これは何だろう?」と触れ、比べ、違いに気づくことが探索につながっていきます。
▪️センサリープレイでは「触ったあと」が面白い
センサリープレイでもさまざまなものを触りますが、大切にしたいのは、とにかくいろいろなものを触らせたらいいというわけではない、ということです。たとえば粘土を用意すると、触る→握る→押してみる→ちぎってみる→伸ばしてみる→道具を使ってみる→形や変化を比べというように、子どもの探索はどんどん広がっていきます。つまり、感覚 → 行為 → 発見 → もう一度試すというプロセスが生まれます。
ここが、センサリープレイ協会が大切にしているポイントです。
たとえば「粘土遊び」では何が起きるでしょうか?粘土は、触覚を使った探索が生まれやすい素材のひとつです。
柔らかさを感じるだけでなく、「押したら平らになった」「引っ張ったら長くなった」「ちぎると小さくなった」
「丸めると形が変わった」など、自分の働きかけによって素材が変化します。さらに、握る・押す・引っ張るといった動きでは、筋肉や関節から得られる固有受容覚の情報も関わります。感覚遊びは、ひとつの感覚だけを単独で使うとは限らず、複数の感覚を組み合わせて楽しめることも特徴です。
実際の私のセンサリープレイ教室でも、最初は粘土を指で押していただけだった子が、穴ができることに気づき、何度も指を入れて確かめたり、そこから道具を使って穴を大きく開けたり、別の素材を差し込んだりと、遊びを変化させていくことがあありました。
大人が「次はこれをしてみよう!」と教えなくても、子ども自身の発見をきっかけに、次の行為が生まれていきます。私は、長年子どもたちのセンサリープレイを見てきて、この「触ったあと」にこそ面白さがあると感じています。

だから私たち大人は「触覚を育てるために粘土遊びを用意する」だけではなく、「この素材から、子どもはどんな情報を受け取り、どんな行為を生み出しているだろう?」という視点で遊びをみることも大切です。
▪️特別な教材がなくても、触覚遊びはできる
触覚を使った遊びは、特別なものがなくてもできます。例えば、水、氷、砂、土、粘土、布、スポンジなど、身近な素材でも十分です。大切なのは、たくさんの素材を一度に用意することではありません。まずひとつの素材に出会い、触る → 気づく → 試す → 変化を発見する → また試す。子ども自身がこのプロセスを繰り返せる環境をつくること。センサリープレイは、単に「感覚を刺激する遊び」ではなく、子どもが自分の感覚と身体を使って、身の回りの世界を探索していく遊びなのです。

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